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カフェ業態における商圏の見方
2020 2/7 update

出店立地の選び方 カフェ業態における商圏の見方

カフェ編

カフェ業態における立地選びのポイント

どのような立地の物件を選べばよいのでしょうか。よく質問されます。なんの条件も付けられなければこう答えます。「カフェの需要が大きくて競合店のないところがベストです。」と。
まず、どこに自分の考える店を出そうか、と考える前に少し考えておくことがあります。
どんな人たちを相手に店を作ろうとしているのか、ということです。いわゆる、ターゲット層とか顧客層ということです。 
何故、これが必要かというとターゲット層がたくさんいる所に店を出すと成功の確率が高まるからです。ですから、ビジネスパーソンを中心にターゲット層を設定するならばビジネスパーソンがたくさんいるところを定めて、物件探しするわけです。

一方、自分は例えば「代官山」に店を持ちたい!という出店場所を絞り込んでいる場合もあると思います。この場合、ターゲット層は後付けになります。さらにどんな店を作るという構想も後付けになるということです。

店舗の立地選びはどちらのパターンでも構いません。成功の確率が高い立地選びは前者はどんな人に対して店を作ろうとしているか、後者はその街に合った店をどう企画するかということをまず決めていかなければなりません。

カフェの売上を左右するもの

売上を左右するものは数多くあります。これを読んでいる皆さんも頭に浮かんでいるでしょう。例えば、メニューの単価、メニューバラエティ、売りとなるメニューの開発、販売促進、店の魅力度、ネットの露出、評判、接客レベル、ご自身の人脈・スキル・能力など。
上記に挙げたものは一つ一つ重要で、確かに売上を左右するものです。
しかしながら、大きく不足していることがあります。
それは「立地」であり、「商圏」です。店がどんな地域で、どんな状況・条件下にある物件か。その場所により、上記の諸条件が同じでも、大きく売上が上下することは疑いようのない事実です。
店の開業を考える時、最も関心を持つのは、当然のことながら、いくら売上があがり、利益が出るのかということです。売上を左右する様々な要因について、充分な知識や試算、検討は開業成功するために必要です。
「何とかなるだろう」と突き進むことは前向きな積極性ではありません。ギャンブルといいます。そして、そのギャンブルは大抵の場合、期待した結果にはなりません。

カフェを開業するための売上予測の必要性

個人の開業に際して、探してきた物件を詳しく調べたところでいくら売れるかは、だれにもわかりません。開業を検討する人が自分自身で事業計画を立て収益の見込みを想定できてこそ初めて出店するべき物件を決めることができるのです。
事業試算は必要ですが、ここでいう売上予測は試算ではなく、実際にどれくらいの売上が取れるか予測をするものです。その方法は科学的な思考のもとで統計を使った手法をリライブフードアカデミー講座の中で公開しています。
個人であっても、素人であっても店の開業を目指すなら、必ず成功させなければなりません。もし失敗したならば再開業に大きな時間と資金を使わなくてはならないからです。
自分自身で考え、判断し自信をもって開業できるように様々なことを学ぶ必要があります。売上予測はその中でも必要不可欠な学習項目といえます。

それでは、次項から「立地」、「商圏」の主な観点についてみていきましょう。
「立地」は①顧客誘導施設 ②認知性 ③動線 ④建物評価 ⑤アプローチ 
「商圏」は①マーケット規模 ②商圏の質 ③ポイント評価 ④自社競合 ⑤他社競合  のそれぞれ5つの要素から成り立っています。

【立地】①顧客誘導施設

顧客誘導施設とは自分のお店のお客様対象が集まり、そして散っていく施設・地点を指します。
この顧客誘導施設に隣接していたり、近くにあったりすることで売上に貢献する要素です。つまり、自分の店にとっての顧客誘導施設はどこなのか? がわかることはとても重要なことです。
通勤圏の駅は顧客誘導施設の代表的なものです。その街の人の流れを作る施設だからです。利用する人も老若男女誰でも利用するのでカフェだけでなく様々な店にとって有用です。

カフェ業態にとっての誘導施設
ターゲット層(利用動機)により顧客誘導施設は変化します。例えば、待ち合わせ、時間調整による利用が多いのは駅前なので駅そのものが顧客誘導施設になります。ビジネスマン対象であれば、ランチタイムや打ち合わせの需要があるオフィスビルが顧客誘導施設となります。住んでいる人を対象に住宅街にあるカフェにとっては、顧客誘導施設といわれるものは少なく主婦同士や高齢者にとってのコミュニケーションの場としての役割を果たすことが考えられますが、その需要については検討の必要があります。

【立地】②認知性

認知性とは店舗看板が見える・見えない度合いと店を知っている・知らないという二つの観点を合わせて「認知性」を構成します。
店が見えるように又は知られるように重要な役割を果たすのは看板です。ターゲット層によく見える看板を設置する努力が必要になります。看板の大きさは適正か、設置角度、設置場所は売上につながるようにできているのか。チェックポイントはたくさんあります。
居抜き物件であっても看板の設置はゼロベースで考えるべきです。これを実行すると、家主に交渉しなければなりませんし、設置は自前の費用で作らねばなりません。しかしながら売上に貢献する看板とそうでない看板では売上は雲泥の差になってくるのです。
店を作ったら、自然にお客様が湧いて来店するわけではないのです。

【立地】③動線

動線とは顧客誘導施設同士を結ぶ線を言います。例えば、駅と大型商業施設を結ぶ通りは動線ということができます。
動線は顧客誘導施設同士を結ぶ線であることから顧客対象が多く通るラインであることから売り上げに貢献すると考えます。

カフェ業態にとっての動線
顧客誘導施設に近いに越したことはないが、動線上にあることで利用機会は格段に期待できます。カフェにとって固定的なお客様とフリのお客様があります。動線はフリのお客様を獲得するために大きく作用する要素です。

【立地】④建物評価

建物評価とは店の規模が大きければ大きいほど売上にプラスに働く要素です。カフェであれば席数であり、郊外型店舗では駐車場台数も入ります。ベーカリーであれば売場面積がそれにあたります。また店舗の間口(店の幅)も建物評価の一つです。

カフェ業態にとっての建物評価
店舗の席数は売上を作る要素ですが見方を変えると売上を制限する要素でもあるのです。 20席の店が満席でも実際に売上を上げているのは6割程度だったりするのです。チェーン店は効率を上げるために工夫しているので参考になります。また、カフェは近年ほとんどの店がガラス張りで店内が見えるように作られています。これは店の情報を発信するので売上に貢献します。つまり、店の間口が広ければアピールする度合いも増すことになり売上につながります。

【立地】⑤アプローチ

アプローチとは店の入りやすさ、入りにくさ、郊外型店舗は出やすさ、出にくさも含まれますが、売上に影響する要素です。都市型の店では店頭の雰囲気や光が影響します。郊外型では駐車場への出入りのしやすさが主な観点となります。
心理的にも物理的にも阻害する要素のない店を作ること

カフェ業態にとってのアプローチ
初めて行く店でなんとなく入りにくい店ってありませんか?「なんとなく」の内容が正にアプローチの要素なのです。店の中が暗くてよく見えないことも入りにくい環境になりますし、フードを全面的にアピールするとドリンクのお客様は敬遠するかもしれません。店頭に情報を何も出していないことが不安を呼ぶこともあります。極端にいうと営業しているかどうかわからない店もあるかもしれません。このような状況を今のうちに他店から学んでいってください。自分の店に活かすために。
郊外型(駐車場付き店舗)のカフェは駐車場の入り口はどこであることを明示することが肝心です。また女性ドライバーにも使いやすい駐車場は良い効果を期待できます。

著者
大友恒生 立地分析プロフェッショナル 同社は高精度売上予測システムの構築を専門とする立地専門のコンサルタント会社『ディー・アイ・コンサルタンツ』を設立と同時に常務取締役に就任。飲食及びファストフード、CVS、スーパーなどの立地分析を基にした立地出店戦略のスペシャリストである。 同社を退社後、DIC出店支援株式会社を設立する。リライブでは立地分析、出店戦略の特別授業を10年以上担当している。チェーン店のみならず、ベーカリー、カフェ等の個人店の立地分析を200店舗以上行っている。
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