物件を所有しているかどうかなど、開業希望者の方の状況により大きく異なります。
たとえば自宅を改装して開業したり、「居抜き」と呼ばれる厨房設備が残った物件をそのまま借りて開業するなら、100～200万円程度で開業することも可能です。一方、周囲の通行量が多く視認性が高いような物件を借入れて、内装を整えて開業するのであれば、500万～1500万円位の費用が必要となる場合もあります。
個人で開業する場合、全額自己資金で開業するケースは少なく、開業計画を立てて金融機関から自己資金の２倍程度の融資を受けて開業し、５年ほどかけて融資を返済するケースが多いです。

お店の売上から、食材の原価や人件費・賃料・水光熱費などの諸経費を差し引いて、残る利益がオーナーの収入となります。物件を借り入れて開業するケースでは売上の１割から２割程度、自己所有の物件で開業する場合は売上の半分くらいが利益として残ります。
開業から数年たち経営が安定したケースでは、年収200～600万円くらいの方が多いですが、副業が別にあって週１～２日の営業で年収100万円程度の方もいます。
自分がどのくらいの収入が必要かを考え、そこから逆算してお店の売上目標を決め、その目標を達成するために、どこにどのようなお店を出店するのか考えると良いでしょう。
個人で開業する場合、周囲に認知されお客様が増えるまでに時間がかかり、最初の１年くらいは安定した利益が出ない場合もあります。このため、開業資金とは別に、経営が安定するまでの運転資金も考慮して計画を立てる必要があります。

過去に開業した方々に伺うと
「自分の好きなことを仕事にできている」
「自分が理想としていたお店を実現できた」
「自分のライフサイクルを自分で決められる」
「体が動く間は定年もなく働ける」
といったメリットを挙げておられます。感じ方は人それぞれですが、自分の裁量で自己実現の場が得られ、それによって収入が得られる、ということがカフェ開業の大きなメリットであると言えるのではないでしょうか。

お金さえあれば未経験でも開業はできますが、開業したお店で安定した収入を得て経営を続けていくためには、知識とスキルが必要になります。
お客様にご満足いただける料理や飲み物を提供できる技術、利益を出し続けるための経営の知識がなければ、開業はできても、お店を長続きさせることはできないでしょう。
開業がまだ当分先であれば、これから飲食店で働いて経験を積むというのもひとつの方法です。ただ経営のノウハウまで学ぶには数年単位の時間がかかる場合が多く、年齢が上がると働く職場を見つけるのが難しくなるケースもあります。このような場合、社会人向けに調理技術や経営の知識を指導するフードスクールへの通学をお勧めします。今の仕事を続けながら通えたり、店舗での現場研修までカリキュラムに含まれるスクールもありますので、比較的短期間で技術と知識、経験を身につけることが可能です。
なお、飲食店を開業する際に必要な資格に関しては、基本的には保健所の講習に参加することで取得できる『食品衛生責任者』の資格があれば開業できます。
「調理師」や「製菓衛生士」の資格がある場合、食品衛生責任者の資格に代えることができます。

開業資金の回答にもありましたが、ある程度の自己資金を用意して、自己資金の２倍程度の融資を金融機関から受けて開業するケースが多いです。個人開業の場合、日本政策金融公庫の創業融資が良く利用されています。ただし融資を受けるためには、しっかりした開業計画と数年単位の返済計画を作成して、審査を通過する必要があります。
他にも、補助金や助成金などが利用できる場合があります。「開業　補助金　助成金」などのキーワードでインターネットを検索すると、様々な補助金や助成金を探すことができます。業種が限られたり条件があったりしますが、返済不要なお金ですので、利用できるものはすべて活用しましょう。