記事更新:2021/05/28
カフェを開業・経営するためには、いくつかの資格や免許を取得する必要があります。しかし、一体どのようなものが必要になるのか分からないという方も少なくないでしょう。そこで、ここではカフェの開業・経営に必要となる資格や免許についてご紹介していきます。
カフェの開業・経営にまつわる資格・免許にはさまざまなものがありますが、営業形態にかかわらず必須で取得しなければいけないのが「食品衛生責任者」です。
これは、飲食店を開業するために必要な資格で、基本的には各都道府県の条例によって取得が義務付けられています。
食品衛生責任者になるためには、各都道府県が開催している講習会を受講する必要がありますが、講習を1日受講するだけなので取得するのはそこまで難しくありません。
ただし、この講習を受講するには10000円程度の受講費がかかることに加えて、1か月以上先まで満員になっていることも多いため早めに申し込んでおきましょう。
なお、調理師や栄養士などの免許を取得すれば、講習を受講しなくても自動的に食品衛生責任者を名乗ることができます。
収容人数が30人以上の店舗を開業する場合は、「防火管理者」の取得も必須です。
防火管理者になるには、消防署などが実施している講習会を受ける必要がありますが、防火管理者には甲種と乙種の2種類があります。
延床面積が300平米以上の場合は甲種、300平米未満の場合は乙種を取得しなければいけません。
甲種を取得する場合は2日間で約10時間、乙種を取得する場合は1日間で約5時間の講習を受ける必要があります。
受講費は各消防署によって異なりますが、約3000~5000円ほどで受講できるケースがほとんどです。
以上がカフェ開業に必ず必要になる資格・免許となりますが、許可や届出に関してはカフェのコンセプトによって異なります。
詳しくは後述しますが、パンなどのテイクアウトや卸業を中心に経営する場合や、深夜0時以降もアルコール類を提供したい場合は注意が必要です。
ここでは、取得が必須ではないものの、あればカフェの開業・経営に役立つ資格についてご紹介していきます。
まず、取得しておきたいのが「日商簿記3級」です。簿記には、単式簿記と複式簿記の2種類の形式があるのですが、税金面で優遇される青色申告をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。
そのため、カフェを経営したいのであれば、複式簿記のやり方をマスターしておくべきと言えるでしょう。
なお、簿記には1級から4級までありますが、3級を取得すれば複式簿記の基礎が身に付くとともに、青色申告書もスムーズに作成できるようになります。
また、「調理師免許」や「栄養士免許」も取得を目指したい資格です。
これらはカフェの開業・経営に必須ではありませんが、取得しておけば信頼感や安心感をアピールできますし、これらを取得すれば食品衛生責任者の講習が免除されるというメリットもあります。
さらに、特定非営利活動法人日本フードコーディネーター協会が認定している「フードコーディネーター」や、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が認定する「野菜ソムリエ」などの食べ物に関する民間資格もおすすめです。
加えて、コーヒーにこだわるのであれば、日本バリスタ協会(JBA)が認定している「バリスタライセンス」や、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が認定する「コーヒーマイスター」などの取得を目指しても良いでしょう。
カフェを開業するためには、食品衛生責任者や防火管理者を取得するだけでなく、さまざまな許可や届出が必要です。
まず必要となるのが、保健所へ届け出る「食品営業許可申請」です。
店舗が完成する10日ほど前までを目安に、営業許可申請書や営業施設の大要・配置図、食品衛生責任者資格証明証などを準備して保健所へ提出する必要があります。
防火管理者を取得した場合は、防火管理者の修了証とともに「防火管理者選任届」を管轄の消防署に提出する必要もあります。
パンや菓子類のテイクアウトを中心に営業したい場合は、「菓子製造業許可申請」も必要です。
お店で作ったパンなどを店内で食べることを前提としている場合は、菓子製造業には該当しないケースが多いのですが、パンなどのテイクアウトを考えている場合は、所轄の保健所に菓子製造業許可を得る必要があるのかを確認しておきましょう。
さらに、深夜0時以降にアルコール類を提供したい場合は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を所轄の警察署に提出しなければいけません。
ただし、深夜0時を越えなければ、アルコール類を提供する場合でも届出は必要ありません。
また、深夜0時以降もパスタやパン、米といった主食の提供を続けている場合も、届出が不要となるケースがあります。
しかし、提供している食事が主食なのかを線引きするのは難しいので、事前に所轄の警察署へ問い合わせておくと安心です。
個人経営する場合は「開業届」も必要です。
開業届の提出先は所轄の税務署となりますが、提出期限が事業開始から1か月以内となっているため注意しましょう。
カフェを開業・経営するためには、「食品衛生責任者」や「防火管理者」を取得するとともに、「食品営業許可申請」や「防火管理者選任届」などの提出する必要があります。
加えて、場合によっては「菓子製造業許可申請」や「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」も必要になるケースもあるため、事前に所轄の保健所や警察署に確認しておくことが大切です。
また、取得事態は必須ではないものの、日商簿記3級や調理師免許、栄養士免許など役に立つ資格も多数あるので、取得を目指してみても良いでしょう。
※コラム内容はPNカフェ人の見解です。
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